アワビの生活史と生態

アワビの3ヵ月後の稚貝

 アワビ類の貝殻は二枚貝のように平たい形状をしていますが、サザエなどと同じ巻貝の仲間です。左の図は受精から3ヶ月後の稚貝(6mm)ですが、左下のほうから時計回りに巻いているのがわかります。この写真よりももっと小さなヴェリジャー幼生の時期には殻の入り口にふたもあるのです。
 アワビの殻にあいた穴は呼水口と呼ばれ、殻の下にあるエラに新鮮な水を送ります。 一番奥の穴の下には肛門や生殖腺があり、糞や卵・精子を排出する役目を果たしています。
 アワビの仲間は世界中でおよそ100種類にもなります。

アワビの生活史

  アワビ類の殻は二枚貝の一方が失われたものではなく、螺旋が扁平になった巻き貝です。 幼生時代は一層だけですがサザエのように巻いていて、殻の口には蓋もあります。分類上の位置は、[ 軟体動物、腹足綱(巻き貝)、原始腹足目、ミミガイ科 ]です。
 アワビ類は雌雄異体で、どちらが多いということもなく、ほぼ1:1の割合です。水中で放卵・放精を行い、海水中で受精します。  産卵の時期は、北方種のエゾアワビが9??10月、南方種のクロアワビ・メガイアワビは10月中旬から11月中旬、マダカアワビは少し遅れて11月中旬から1月で、いずれも水温が16??20℃の間です。 トコブシ両種は6??9月の高水温期が産卵の時期です。
 受精卵は沈む性質で、受精後約8??10時間で孵化し、プランクトン生活に入ります。幼生はトロコフォア(Trochophore)、ヴェリジャー(Veliger) を経て5??10日くらいで着底・変態して稚貝となります。
 稚貝は1年に平均2??3cm位ずつ成長し、3??4年で約11??12cmに達し成貝となります。寿命は計算上17??18年と推定されています。
 アワビの主な餌はアラメ・カジメ・ワカメ・コンブなどの褐藻類です。殻長10mmを超えるまでは珪藻のような微小な藻類を食べています。

アワビとトコブシの違い

 アワビの小さいのがトコブシだというのは誤解です。分類学上はアワビが[軟体動物・腹足類・原始複足目・ミミガイ科・アワビ属]、トコブシが[軟体動物・腹足類・原始複足目・ミミガイ科・トコブシ属]で近い仲間ですが、交雑種は生まれないなど同じ種類ではありません。見た目では、アワビの孔(呼水口)の数は2??6個で平均4個くらいですが、トコブシはこれよりも多く6??9個開いています。なお、この孔は成長にしたがってエラの位置がずれていくため、エラから外れた奥側から順にふさがれていきます。
 どちらも古くからさまざまな地域で調理法が工夫され、おいしく食べられています。種類によって違う肉質や風味から、次のような料理が向いているという考え方もあります。

    クロアワビ
    肉質がしっかりして歯ごたえが良いので、水貝や刺身で食べられることが多い。
    メカイアワビ
    肉質が柔らかく火を通すと甘みが増すため、煮貝や蒸し貝で食べられることが多い。
    マダカアワビ
    肉質が柔らかいが歯ごたえもある。刺身、蒸し貝に向く。
    トコブシ
    肉質に歯ごたえがあり、独特の磯の香りが強い。煮物で食べられることが多い。

監修・資料提供:小池康之(元東京海洋大学助教授)