NPO法人 海事・水産振興会 / NPO Maritime and Fisheries Promotion Society
アワビ漁獲量は最盛期の1960年代には6400トンに達していましたが、最近は減少し続け、2000年以降は2000トン前後に低迷しています。
このようにアワビが減少した原因はいったい何でしょう。海流や水温の変化、磯やけなどによる生活環境の悪化など、自然環境の変化と人為的影響の両面から研究が進められています。
アワビ類の漁獲量は1900年代当初は3,000??4,000トンでしたが、1910年から1944年までは 4,000??6,000トンに増加し、1942年には最高の8,800トンを記録しました。大戦後は一時2,000??3,000トン
代に落ちたものの,その後やや増加し1960年から1970年代には再び5,000??6,000トン代に回復しました。
しかし近年は大幅な減産が目立ち始め、1992??1994年には2,200トン前後に、1995年には2,000トンを下回りました。その後現在までは2,000トンを少々上回り、回復の兆しを見せていますが、最盛期から見れば1/3の生産量であり、漁業関係者から憂慮される状態が続いているようです(農林水産省、漁業・養殖業生産統計年報より)。
自然現象に関しては,直接アワビに生理的に影響を与えるものに低水温があります。
岩手県・宮城県など親潮流域では,年によって親潮が異常に接岸する場合があり,冬の間に0度以下の沿岸水が長期間滞留することが
あります。この時期はエゾアワビの当歳稚貝がまだ1cm以下の大きさで,こ
のような低水温が長期間継続すると生残できずに死に絶えてしまいます。
また,間接的に影響を与える例として,温暖化による暖海域の水温上昇
があり,平均水温25度以上が長期間続くとアラメ・カジメなど大型海藻が枯死し,いわゆる磯焼けの状態となり,アワビにとって餌料不足の状態に
なります。
このような磯焼けは水温上昇だけでなく,競合生物(アイゴ,ブダイなどの
草食性魚類やウニなど)の異常繁殖によっても引き起こされます。
人為的影響としては,開発や公害も考えられますが、違法漁業・密漁を含めた過剰漁獲が最も重大な原因と考えられる地域もあります。
漁業者自らの違法漁獲(大きさ・ 漁期)もいまだに皆無とは言えず,規則の遵守が望まれています。
また,最近一部研究者の間で検討され始めているが,長年にわたる大量 の種苗放流事業の結果,遺伝学的に近縁の親貝が多用されることとなり、遺伝的多様性の低下がアワビ資源量減少の一因ではないかという指摘もあります。
監修・資料提供:小池康之(元東京海洋大学助教授)